web用『おっぱいミサイル』タイトル画

電子レンジを使うことを、何でもかんでも「チンする」と言ってる、そこのあなた!
いけませんぞ~、われわれ科学の子は「加熱する」「解凍する」など正しく使い分けなければ。
などと、エラそうに言っている筆者だが、長い人生のなかでは正式名称を用いず、イメージそのまんまの言葉を使っていたこともある。それこそは「おっぱいミサイル」!

アフロダイAという女性型ロボットの豊満な胸がミサイルになっており、ボイ~ンボイ~ンと飛び出して、敵のロボットをボカ~ンボカ~ンと攻撃する。
これ、正式名称は「光子力ミサイル」とか「アフロダイミサイル」とかいうらしいのだが、ええい、そんなまどろっこしい呼び方ができるかいっ。おっぱいがぶっ飛んでいって爆発する。このスバラシイ武器を「おっぱいミサイル」と呼ばずして、何と呼ぶ!? (←だから「光子力ミサイル」と呼びましょう)。

このおっぱいミサイルが登場したのは、70年代のロボットアニメ『マジンガーZ』である。放送開始のとき小学5年生だった筆者は、毎回テレビの前に正座して見ていた。それはマジンガーZを建造した兜十蔵博士をモノスゴク尊敬していたから。博士は、孫の兜甲児(主人公)にマジンガーZを譲るときこう言った。
「マジンガーZさえあれば、お前は神にも悪魔にもなれる」。
おお~っ。人間と科学の関係を、これほど的確に言い得た言葉があるだろうか!?

このように、科学の学び舎のようなつもりで見ていた『マジンガーZ』で、おっぱいミサイルが炸裂したのだから、もうビックリ&大喜びしたのである。これをぶっ放すアフロダイAの操縦者は、弓さやか。光子力研究所の所長・弓弦之助教授の一人娘である。

弓教授とはどんな人?

最近は誤解している人も多いみたいなので、ここで強調しておきたいのだが、マジンガーZを開発したのは、兜十蔵博士である。この人が亡くなっちゃったので、弟子の弓教授がマジンガーZを支援するようになったのだ。
筆者は兜博士を尊敬するあまり、この弓教授を過小評価するきらいがあった。以前から「16歳の弓さやかがアフロダイAに搭乗しているのは、さやかが大天才か、弓教授が親バカか、光子力研究所が人材不足か……のいずれかの理由に違いない」と暴言を吐いては顰蹙を買ってきた。

だが、意外に立派な人物だったようで、光子力の悪用を防ぐために、その後政治家に転身。先日公開された映画『マジンガーZ INFINITY』(テレビ版の10年後が舞台)では、なんと日本の総理大臣になっていた! うーむ、あやつがそこまで出世したとは……。

それはともかくアフロダイAである。これは本来、地質調査用のロボットだった。当然、武器など装備していなかったのだが、戦場ではマジンガーZの足手まといになるケースがあった。
そこで地質調査用のミサイルを、防御のために装備したのがおっぱいミサイルであった。思い切った場所につけたものである。

おっぱいがいっぱい!

さて、このミサイル、威力はどれほどだろうか。
アフロダイAは身長16m、体重18t。人間の女性の10倍ほどの身長だ。その胸から発射されるおっぱいミサイルは、前方がまぁるい半球になっている。画面で測定すると、直径は1.2mくらいか。

そして、昔から不思議で仕方がなかったのだが、発射されたミサイルを見ると、長さが直径の5倍ほどもある。
すると全長6mということになるが、そんな長大なモノがアフロダイAの胸に装備できるのか!? 
いや、発射される前は、きちんと収まっているのである。収納時には、おっぱいミサイルの後方は、ジャバラ状に折りたたまれているのか? うーん……。

web用『おっぱいミサイル』図A

あれこれ考えても謎が解けないので、ここでは発射前の形状で考えることにする。
ミサイルは先端が半球で、途中から円筒形と仮定する。アフロダイAの体の前後の厚みは2mほどなので、円筒の長さを1.5mと考えると、このミサイルは直径1.2m、長さ2.1m(半球の半径0.6m+円筒の長さ1.5m)となる。
その表面が厚さ1㎝のジュラルミンで覆われており、内部に燃料と爆薬が半々に入っていると考えれば、推定重量は2.2tになる。左右あわせて4.4t。なんと体重の4分の1という、すごいおっぱいだ!
このサイズだと、破壊力もたいへんなものになるはずだ。着弾地点から半径80m以内の建物が吹き飛ぶ。おお、世界一強力なおっぱいだ!

連続発射のナゾ!

さらに驚くべきことに、おっぱいミサイルはその後パワーアップする。連続発射が可能になるのだ。
確かに左右1発ずつしか撃てなかったら、撃った後の戦力ダウンが心配だ。このたびの改良で、撃っても撃っても、あとからあとからおっぱいが出現するようになったのはスバラシイが、1発ずつの時代さえ収納問題で悩ましかったのに、そんなにいっぱいのおっぱい、どこに収納しているんだろう!? 前述のとおり、筆者の推定ではミサイル1基が2.2tなのだ。アフロダイAの体重は18tだから、おっぱい8発をぶっ放した時点で、内部はほぼカラ。9発だと、おっぱいが体重を上回るというナゾなことになってしまう。うーん、どう考えればいいんだっ!?
現代科学ではこれらの謎は解けない。しかしそんなことで、おっぱいミサイルの魅力は色褪せない!【了】

本文・柳田理科雄
イラスト・近藤ゆたか