web用『ヒロアカ』八百万タイトル画

『僕のヒーローアカデミア』にはいろいろ魅力的な人が出てくるけど、筆者はこの人のことが、とても気になる。そのナイスバディ……も魅惑ムンムンだが、キャラと能力もオモシロイ!

八百万百(やおよろずもも)は、ヒーロー養成学校・雄英高校1年A組。
成績はクラスで1番。入学直後の体力テストでもクラス1位。言葉づかいも丁寧で、面倒見もいい。といってパーフェクトな優等生ではなく、体育祭で不振だったことで「ヒーローとしての実技」に自信を失いかけ、友達の言葉で立ち直るなど、ヒジョ~に人間っぽくもある。
このマンガでは、それぞれのキャラの超能力が“個性”と呼ばれているが、百の“個性”は、生物以外なら何でも作り出せる「創造」。百は、これで戦いの最中にいろいろなものを創造している。

たとえば、電撃から身を守る絶縁シート!
形状記憶合金を織り込んだ捕縛用リボン!
それを撃ち出すカタパルト!
巨大ロボを倒す大砲!
ガスマスク!
電波発信機&受信機!

イカツいものばかりだが、マンガでは、彼女がそれらを作り出せる理由も説明されていた。
原材料はなんと「体内の脂質」。
斬新な視点である。
だが、体内の物質を材料に武器を作ったりして大丈夫なのだろうか!?

脂質からモノを作る方法

体の脂質から、生物以外のものなら何でも作り出す。林間合宿でカレーを食べながら、百はその仕組みについて、こう説明した。
「ええ、私の“個性”は脂質を様々な原子に変換して創造するので、沢山蓄える程、沢山出せるのです」(読点は筆者)
クラスメートに「うんこみたい」とツッコまれ、百はヘコんでいたが、うんこと似ているのは「たくさん食べるとたくさん出る」ところくらい。科学的には「脂質を様々な原子に変換」というところに注目していただきたい。
また、絶縁シートを作った場面では、ナレーションはこう述べていた。
「それを可能にするのは、分子構造まで把握する彼女の知識量だ!」

これらの説明どおりだったら、脂質から絶縁シートを作り出すことは容易だろう。
なぜなら、「脂質の分子」にも、絶縁シートの材料になる「ゴムの分子」にも、炭素と水素の原子が含まれているから。違っているのは、その数や並び方、つまり「分子構造」なので、分子構造を変えれば、脂質からゴムを作ることはできるはずである。

脂質がなくなると?

だが、その材料が脂質というのは、どうなのか。
脂質が減ればやせられてラッキー!というカンタンな話ではない。脂質は、体内で重要な働きをしているのだ。これを使ってホイホイ物を作り出すと、大変なことになる。
皮下や内臓にたまる「体脂肪」は、体にエネルギーを蓄え、体を衝撃から守り、体温を発生させ、ホルモンを分泌している。これを大量に使うと、百は元気がなくなり、体温が下がり、体調不良になりかねない。
あの立派な胸も心配だ。女性の乳房は、大胸筋の上に体脂肪が重なったものなので、創造しすぎると、小さくなってしまう。これについては、とくに気をつけていただきたい。

web用『ヒロアカ』八百万図A

さらに気になるのは「沢山蓄える程 沢山出せるのです」という百の言葉だ。たくさんのものを出すには、たくさんの脂質が必要ということだろう。
百の“個性”においても「質量保存の法則」が成り立つとしたら、何でも創造できるといっても、彼女の脂質の量を超えて作り出すことはできないはずだ。
ここでは、百が体脂肪を使っているのだと考えよう。高1女子の体脂肪率の標準は20~35%だが、百は胸以外はスリムなので、体脂肪率25%と仮定する。また、百は身長173㎝だが、同じ理由で体重を55㎏と仮定する。
すると、体脂肪の重さは14㎏。健康を保つためには、使える体脂肪はたった3.5㎏という計算になってしまう。

ところが、百はそれよりはるかに重そうなものを創造している。大砲など、どう見ても200㎏はあるし、意外に重いのが、厚さ100㎜という絶縁シートで、その推定重量は370㎏!
いったいどうなっているのだろう?
考えられる可能性としては、このシートを出すとき、百は目にも止まらぬ速さで何か食べて、体脂肪を370㎏ほど増やした……とか!?
ヒジョーに考えづらいが、そんな離れ業ができたとしたら、百は瞬間的に、体重は425㎏、体脂肪率は90%に増えたはずである。
その一瞬を、見たいよーな、見たくないよーな。
身を削る個性は、やっぱり大変だ。【了】