web用グロリア校長タイトル画

年頃になった女の子に、ある日「プリチケ」が届く。それは、誰でもアイドルになれるテーマパーク・プリパラタウンへの招待状。
プリチケをゲートの前のスキャナーに通せば、次のようなことが起こる。

いきなりプリパラの世界へ!
着ていた服が、ステージ衣装に変わる!
髪がぐーんと伸びる!
身長も伸びる!
スタイルもよくなる!

そして、このステキ姿でライブに出場し、サイリウムを振る満場の観客に、歌やダンスやファッションを披露するのだ。プリチケから始まる、絢爛豪華なプリパラ現象ですなあ。

そんな『プリパラ』を科学的に検証しようと思うのだが、さんざん考えた末に、ここで取り上げることにしたのは、私立パプリカ学園小学部校長の大神田グロリア先生。
「げっ。かわいいプリパラの世界で、よりによってなぜ!?」と悲鳴が聞こえそうだが、この先生のやることが、科学的にはヒジョ~に興味深いのだ。

グロリア校長は「小学生の本分は、一に勉強、二にお家のお手伝い」が教育理念で、小学部生徒のプリパラタウンへの出入りを禁止している。朝礼では、生徒が隠し持っているプリチケを匂いで嗅ぎ取り、強力掃除機「リナちゃん」で吸い取って没収する。
気になるのは、このプリチケ没収能力。これがなかなかすごいのである。

グロリア校長のすごい嗅覚!

グロリア校長は、プリチケの匂いを嗅ぎ分ける。
その能力を確認するために、筆者もゲームのプリチケを入手してみたのだが(キラキラでびっくりした!)、どんなに鼻を近づけても、臭いなどまったくしません。う~む、グロリア校長は、筆者よりはるかに嗅覚が鋭いのだろうか。

「匂い」とは、物質から蒸発した気体が鼻の粘膜の水分に溶けて、嗅覚細胞を刺激する現象である。
匂いが感じられるかどうかは、その気体の空気中での濃度による。「犬は人間の100万倍も鼻がいい」といわれるが、それは匂いの元になる気体の濃度が、人間がギリギリ感じるより100万分の1も低くても、犬は感じることができる、ということだ。

プリチケも物質である以上、何らかの気体が蒸発していることは間違いない。ただ、筆者にはまったく感じられないから、その蒸発量は微々たるものだろう。その匂いを嗅ぎ分けるグロリア校長の嗅覚とは、どれほどなのか?

アニメを見ると、グロリア校長は、校庭で行われていた朝礼の最中に、2mほど離れた生徒がプリチケを持っていることを嗅ぎつけていた。
校庭のように開けたところでは、気体の濃度は、蒸発した物体からの距離に反比例して低くなる。すると、もし筆者がプリチケに、たとえば0・1㎜まで鼻を近づけて匂いを感じたとしたら、グロリア校長はプリチケの匂いに対して、筆者の2万倍も敏感なことになる。
いや、実際にはどんなに近づけてもわからなかったのだから、グロリア校長はもっともっとすごいのだろう。たぶん犬並みじゃないかと思います。

リナちゃんの吸引力は?

そしてグロリア校長は、強力掃除機「リナちゃん」でプリチケを吸い取ってしまう。
その光景は、もうホントに驚異的だ。
3mほど離れた生徒からも吸い取る! バッグのなかからも吸い取る! 主人公・真中らぁらの友達のなおちゃんなど、セーラー服の襟の裏にポケットを作り、そのなかに入れていたのに、いとも簡単に吸い取られてしまった!

これはいったい、どれほどの吸引力なのだろうか。
それを探るために、出力900Wの掃除機をプリチケに近づけてみた。少しずつ距離を詰めていったところ、吸いつけることができたのは、2㎝まで近づけたときだった。

掃除機が離れたものを吸い寄せる力は「距離×距離」に反比例して弱くなる。3mも離れたプリチケを吸い取ったリナちゃんは、よほどパワーが強かったはずである。
リナちゃんが吸い取った3mとは、2㎝の150倍だ。すると、リナちゃんの吸引パワーは、筆者が実験に使った掃除機の150×150=2万2500倍。900Wの2万2500倍ということは、リナちゃんのパワーは、えっ、2025万W=2万250kW!?
これはすごい。16両編成のN700系新幹線の1・5倍だ!

プリチケを没収するのに、新幹線以上のパワーとは、グロリア校長のプリパラ禁止姿勢も徹底している。
実はこのグロリア校長、昔はアイドルをやっていて、ある事件をきっかけに、プリパラが嫌いになった……など、深い話もあるみたいなので、それについてはぜひアニメをご確認くださいー。【了】

web用グロリア校長図A

文・柳田理科雄
イラスト・近藤ゆたか