肩乗りピカチュウ

年一冊くらいのペースで『ポケモン空想科学読本』という本を出しているのだが、ポケモンたちは設定がヒジョ~に魅力的である。それぞれのポケモンがどんな体格で、どんな能力を持つか、また生息域や行動形態なども記されていたりする。
「ピカチュウが肩の上に乗っていて、サトシは重くないの?」という問題を考えられるのも、ピカチュウの体格が明確にわかっているからだ。

ポケモン図鑑によれば、ピカチュウは「高さ0.4m 重さ6.0㎏」。
大人のネコの平均体重は、3~5㎏だから、ピカチュウはかなり大きなネコほどの体重ということだ。2L入りのペットボトル3本分だから、結構重いですなあ。
サトシは、このピカチュウを肩に乗せて、ポケモンマスターになるための旅を続けている。かつて学習塾の講師をやっていた筆者など「学校に行かなくて大丈夫!?」などと気を揉んでしまうけれど、いま考えるべきはそれではない。
それほど重いピカチュウをいつも肩に乗せている、サトシの健康問題である。

実際どれほど重いのか?

サトシがどれほどの荷重に耐えているのか、自分も体験したい。
水の入った2Lペットボトル3本を肩掛けカバンに入れて、肩に提げて……みようとしたのだが、ここで気がついた。
サトシは10歳だ。筆者にとっての6㎏と、サトシにとっての6㎏では、重さが同じでも、体にかかる負担は大きく違うのではないだろうか。

2016年のデータでは、10歳男子の平均体重は、33.67㎏。筆者の体重は73㎏で、その2.17倍だ。
すると、筆者が6㎏の2.17倍=13.02㎏のものを肩に載せたとき、体への負担はサトシと同じになるはずである。それ即ちペットボトル6本と半分!
そこで、ペットボトル7本にそれだけの水を入れ、箱に入れて右肩に担ぐと、ぬわわっ、重い! 歩けなくはないが、ヨロヨロする。こんな状態で旅を? じょ、冗談じゃありません。

こんな過重な負荷をかけられて、サトシは大丈夫なのだろうか。
アニメの記憶をたどると、ピカチュウは右肩、左肩、頭といろんな場所に乗っていたような気がする。だったら、サトシの負担も少しは軽減されるかもしれないが……。

そこで、アニメを何本か見てみると、確かにピカチュウは、サトシの体に乗る場所を変えている。
だが、筆者が見た回がたまたまそうなのかもしれないが、乗る場所を変えるのは「お話ごと」なのだ。
つまり、ある回の初めで右肩に乗っていたら、その回では、ずっと右肩に乗っている。最初に左肩に乗っていたら、何度場面が切り変わっても左肩ばっかり……。なぜかなあ? 

肩からジャンプは危険だ!

ピカチュウが乗る場所を変えてくれれば、サトシの負担も軽減されるだろうが、それでも問題は残る。
ピカチュウは、単にサトシの肩に乗っているだけではないのだ。

たとえば、草原を走ってきて、サトシの肩に飛び乗る!
肩に乗っているときにポケモンバトルが始まると、肩からジャンプする!
「チョロネコにご用心! ニャースとミジュマル!!」というお話では、サトシが「ピカチュウ、10万Vだ!」と叫ぶと、ピカチュウはサトシの肩から斜め上45度の角度でジャンプして、1.8秒後に最高点に達し、10万Vの電撃を放った。
ここから計算すると、ピカチュウはサトシの肩から時速90㎞でジャンプし、高度17mに達したと思われる。
体重6㎏もある生物に、肩から時速90㎞で飛び立たれたら、たまったものではない。肩を強く蹴られたサトシは、斜め下45度に時速16㎞でぶっ飛ばされるはずである。

web用ポケモン肩乗せ図A

これによって受ける衝撃は、大人が体重120㎏の力士にぶちかましを食らったのと同じ! 地面にビターンと叩きつけられて人事不省……ということになりかねない。
ピカチュウは、ジャンプするんだったらサトシの肩から降りて、大地を蹴って跳び上がったほうがいいと思うなあ。
ところが、その直後のシーンで、ピカチュウはもうサトシの肩に乗っている。さっき大ダメージを与えたはずの右肩に。サトシの肉体は、あまりに強靭だ。ピカチュウも素早い。
まあ、こういうすごいヒトたちに対しては、体へのダメージなど、心配しなくてもよさそうですなあ。【了】