マイティ・ソータイトル

ええーっ! 予告編を見ただけで、科学ゴコロをいたく刺激されてしまった。こんなコトができる敵は、尋常でなく強そうですぞ!

筆者の目が釘づけになったのは、映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』の予告編、その冒頭シーンである。

マイティ・ソーが投げたハンマー「ムジョルニア」を、“死の女神”ヘラが、片手で受け止めた! これだけのことだが、これが驚異的にすごいのだ。
ムジョルニアは単なるハンマーではない。神々の王・オーディンが、アスガルドの金属ウルを鍛えて作らせた神秘のハンマーで、あのハルクをぶっ飛ばしたこともある。かつてアベンジャーズの面々がこのハンマーを持ち上げようとしたが、トニー・スタークが腕にアイアンマンスーツを装着してもビクともしなかった。そんなムジョルニアを、あの女性は片手で受け止めたのだ。もうびっくり!

しかも、それだけではなかった。ヘラはムジョルニアを握り潰し、大爆発を起こす……!

もう何がなんだかわかりません。わかることは、ただ一つ、ヘラがべらぼーに強いということ。その具体的な強さはどれほどか? 予告編冒頭のシーンを、科学的に考えてみよう。

ムジョルニアの重さを探る

 飛んで来る物体を受け止めるには、重量が重く、速度が速いほど、強い力が必要になる。ヘラの実力を測るには、ムジョルニアの重さと、ソーがどれほどのスピードで投げたのかを知りたいところである。

前述のとおり、ムジョルニアは神秘のハンマーで、選ばれし高潔な心の持ち主だけが持ち上げられるという。単に「重いから」という理由で、アベンジャーズの面々が持てなかったわけではないのだろう。しかし、ハルクをぶっ飛ばしたりしたことを思えば、相当な重量なのは間違いない。ここでは、あくまでも現実の科学で考えることとし、ムジョルニアの素材であるウルの密度が、現実世界で最も密度の高い金属「オスミウム」と同じと仮定して検証しよう。

ヘラが受け止めたシーンを見ると、ムジョルニアのヘッドの長さは30㎝ほど。これを元に細かく測定して計算すると、柄も含めて体積は10.15Lと思われる。オスミウムの密度は1Lあたり22.57㎏だから、重さは229㎏。400㏄のバイクほどもある!

こんなに重いモノを、ソーはどれほどのスピードで投げたのか? かつてハルクと戦ったとき、ソーはムジョルニアを投げつけて、ハルクを吹っ飛ばした。画面の描写を参考に、ハルクが10m飛ぶあいだに50㎝落下したと仮定すれば、この超人は時速113㎞で飛ばされた計算になる。

コミックス版の設定ですがマーベルの公式HPによると、ハルクの体重は635㎏(1400ポンド)。ムジョルニアの重量が前述どおり229㎏なら、このときソーはムジョルニアを時速425㎞で投げたのだ。ものすごいですな!

ソーの33倍も強い!

というわけで、ムジョルニアの重さは推定229㎏で、ソーはこれを時速425㎞で投げる実力がある。やっぱりすごいなマイティ・ソー!と喜んではいけません。

ここで検証しているのは、それを受け止めたヘラのすごさである。予告編のシーンでも、ソーが時速425㎞で投げたと仮定しよう。その場合、「力」に注目すれば、ソーとヘラは対等ではない。物体を動かしたり止めたりする場合には「エネルギー=力×距離」という関係があるからだ。

投げる動作を考えると、ソーはムジョルニアを1mほど動かしたであろう。これに対して、ヘラは腕を伸ばしたまま、飛んできたムジョルニアをピタッと止めている。画面では、ムジョルニアがヘラの手に触れてから止まるまでに動いた距離は、わずか3㎝ほどだ。

つまりソーの33分の1の距離で止めているわけで、ヘラのほうが33倍も強い力を出しているのだ。具体的に計算すると5400tだ!

さりげないやり取りで、自分の33倍の力を発揮する相手。もし筆者がソーだったら、この時点でハダシで逃げ出しますっ!

ヘラは2兆人力!

逃げることを力強く言い切ってる場合ではない。ヘラの恐ろしさはなお続く。受け止めたムジョルニアを握り潰し、大爆発させたのだ。

爆発の原因は、二つ考えられる。①ムジョルニアが秘めた神秘のエネルギーが、ヘラの握り潰しで解放された。②ヘラが己の力のみで爆発を起こした。

もし、①だとすると、ヘラも選ばれし者ということになる。映画を見てみなければ何ともいえないけど、やっぱりそれはイヤだから、②で考えてみよう。

岩石や金属にも弾力性があり、強い力をかけると、わずかに縮む。限界を超えると破壊され、それまでに蓄えられた弾性エネルギーで破片が飛び散る。そのスピードがとてつもなく速ければ、空気との衝突で莫大な熱が発生し、爆風が起こるだろう。

被害を受けた建物などと比較すると、爆風は半径500mほどにまでに広がったと見られる。これだけの爆風が起きるのは、現実世界では、爆薬230tが一気に爆発した場合だ。戦闘機などが搭載している2000ポンド爆弾には400㎏の爆薬が入っているから、それが570発いっぺんに爆発したのと同じエネルギーが放たれたわけだ。

マイティー・ソー図解

握り締めるだけで、これほどのエネルギーを蓄えるとは、ヘラはどれほどの力を出したのであろうか。それはムジョルニアが押し縮められた長さによる。

画面では測れないので推測するしかないが、もし1㎜縮んだとしたら、ヘラの握力は1000億t。成人男性の平均(47㎏)の2兆1500億倍! 車をスクラップにするプレス機(300t)の3億3500万倍! すごすぎて笑うしかありませんな。わはははははー。

笑っている場合ではない。今回の敵はこれほど強いのだ。ソーはどう立ち向かうのか? そう、予告編も言ってるように、こんなときこそ結束して戦っていただきたい!

と、予告編からわかるだけで、これほどの力を秘めた”死の女神”ヘラ。この強敵とソーたちがどう戦うのか、11月3日公開の本編『マイティ・ソー バトルロイヤル』が楽しみでたまらない!

”死の女神”ヘラや、ソーが率いるリベンジャーズたちの情報はこちらから!