ビームサーベルタイトル

『スター・ウォーズ』のライトセイバーと『機動戦士ガンダム』のビームサーベル。どちらも「輝く剣」であり、パッと見、よく似ている。
だからこそ、どっちがすごいのか、比べてみたくなる。

ライトセイバーは、1977年の映画『スター・ウォーズ』に初登場した。
通常は長さ30㎝ほどの細い棒だが、起動させると光の刃が伸びて、刀身だけで1mはありそうな輝く剣となる。刃の色は、赤、青、緑とさまざまで、殺傷能力があるのはもちろん、互いに刃を打ち合わせたり、銃弾を弾いたりもする。

ビームサーベルの初登場は、79年開始のアニメ『機動戦士ガンダム』。
この剣も、普段は柄だけだが、使用時には真っ赤に輝く刀身が出てくる。アニメの第1話で、主人公・アムロが初めてガンダムに搭乗したとき、操縦技術は拙かったにもかかわらず、ジオン公国軍のモビルスーツ・ザク2機をこれで撃破した。

ともに主人公を支え続けた輝く剣である。果たして威力はどちらが上なのだろうか?

ライトセイバーの科学

「セイバー」は英語、「サーベル」はオランダ語またはドイツ語。どちらも「剣」という意味だ。
また「ライト」とは「光」、「ビーム」とは「直進する光や粒子の束」のことだから、ライトセイバーは「光の剣」、ビームサーベルは「光または粒子の剣」という意味になる。
だが、それは言葉のうえの話。2つの輝く刃の実体は、それぞれ何なのだろうか。

公式設定によれば、ライトセイバーの刃は、柄のなかにある「パワーセル」から出たエネルギーを「アデガンクリスタル」という宝石で光に変え、さらに複数の装置でプラスとマイナスの電気を与え、刃の形にしたものだという。
現代の科学では、光に電気を与えることはできないが、それ以外の仕組みはレーザーによく似ている。レーザーも、電気のエネルギーをキセノンランプなどで光に変え、ルビーなどの宝石や二酸化炭素などのガスに照射することで、レーザー光を取り出す装置だからだ。
波長が一定で、波の山と谷が揃ったレーザー光は、狭い領域にエネルギーを集中させることができるため、武器として使用すれば、大きな威力を発揮する。

ただし、光はひとたび放たれればどこまでも直進するから、現実的にはライトセイバーのように刃を一定の長さに保つことができない。
また、サーチライトの光を交差させても何も起こらないように、光をぶつけ合っても互いに素通りするだけなので、光の刃同士を打ち合わせることもできない。
劇中でこれを実現しているのが「フォースの力」だ。
『スター・ウォーズ』の世界において、フォースは生物が作り出すエネルギーのことで、未来を予測する力、他人の心を操る力、離れた物体を動かす力など、正義の騎士団ジェダイや悪のシス卿たちの能力の源泉となっている。
この力によって、ライトセイバーの刃も一定の長さに保たれ、打ち合わせれば互いに相手を跳ね返すのだろう。

つまりライトセイバーの刃は、剣の姿をしたレーザー光と考えられる。
生体を焼き切ったり、金属を溶断したり、強力な武器となるのもナットクである。

ビームサーベルの科学

一方『機動戦士ガンダム』の公式設定から要約すると、ビームサーベルは「刀剣状に形成したIフィールドに、ガンダムの核融合炉で作り出した高温のミノフスキー粒子を充満させたもの」だという。
ミノフスキー粒子とは『ガンダム』世界の根幹を支える架空の粒子。
質量はほとんどゼロで、プラスの電気を持ったものとマイナスの電気を持ったものがあり、「タウフォース」という斥力(反発力)が働くため、プラスとマイナスが交互に並んだ立方格子を形成する。
この状態が「Iフィールド」と呼ばれ、重量3万2千tの強襲揚陸艦ホワイトベースを宙に浮かべるなど、その斥力はきわめて強い。

ここから考えると、ビームサーベルの刃は、Iフィールドの斥力で高温のミノフスキー粒子を閉じ込めたものなのだろう。高温の物体からは周囲に光の形でエネルギーが放出される。おそらくIフィールドの斥力は、ミノフスキー粒子には作用するが、光には働かないに違いない。
これにより、剣の形を維持したIフィールドは、ミノフスキー粒子は閉じ込めるが、光は透過させるため、敵のモビルスーツを溶断したりすることが可能なのだと思われる。

このようなライトセイバーとビームサーベルは、どちらが武器として強力なのか?
後編では、両者が実際に戦った場合を考えてみよう。【つづく】

イラスト:近藤ゆたか