ライダー棺桶タイトル

タイトルを見て「なんのこっちゃ!?」と思った人も多いだろう。
それも無理はないけど、仮面ライダーが自ら棺桶に入り、地面に埋まったことがあるのは事実なのだ。
ここでは、この不可思議なエピソードを見てみよう。

『仮面ライダー』第6~7話で描かれたこの物語のきっかけは、第2次世界大戦の末期に遡る。
劇中では「敗戦を覚悟したナチス・ドイツが、何兆とも何十兆ともいわれる財宝を、同盟国の日本に潜水艦で移送した」と言われていた。
それから数十年――。財宝が日本に眠っていることを知ったショッカーは、ナチスの残党・ハインリッヒ博士と手を組み、死神カメレオンに秘宝のありかを記した地図を入手するよう指令を出した。
これを知った仮面ライダーは、懸命に阻止しようとする。ライダーとショッカーの地図争奪戦は2週にわたって火花を散らし、なんと最終的に死神カメレオンが手に入れて、さあ、物語はクライマックスへ……。

財宝を捨てちゃった!?

死神カメレオンとハインリッヒ博士が地図に書かれた場所に行くと、地面に白い十字架が立っていた。
「ここだ!」と喜んで十字架を抜き、地面を掘るショッカー一味。地面には、棺桶のような大きな箱が埋まっていた。
そこに財宝が入っていることを信じて死神カメレオンがフタを開けると、中に入っていたのは、なんと仮面ライダー!
ライダーは棺桶から飛び出して全員を蹴散らすと、こう告げるのだった。
「ナチスの財宝はあった。しかし、私の手ですでに掘り出し、太平洋の底に捨てた!」。
え~っ、財宝を勝手に捨てちゃっていいのかよ!?

この問題も激しく気になるが、モノスゴク不思議なのは、仮面ライダーがどうやって棺桶に入り、それを地中に埋めたか、である。
劇中の描写を見ると、立花藤兵衛らはショッカーに捕まっており、ライダーに協力者はいない。また、棺桶は地下数十㎝という深い場所に埋まっていた。ライダーが一人でこれを実践することは可能なのだろうか?
棺桶に入ってフタを閉めてしまえば、その上に土をかぶせることはできない。ましてや十字架を立てるなどまったく無理だろう。
さまざまに考えを巡らせた挙句、あり得るとしたら、次のような方法ではないだろうか。

まず、棺桶のフタを棺桶本体の横に置く。その上にピッチリ載るように、きれいに四角く土を盛り(高さ数十㎝の土!)、そこに十字架を刺す。
続いて、自ら棺桶に入り「ヨイショ、ヨイショ」と少しずつ内側からフタをずらし、ゴトッとフタを棺桶にかぶせる。フタの上の土と周囲の土の間には切れ目ができるだろうから、内側からフタをガンガン叩いて、振動で土を切れ目に落とし、なるべくわからないようにした……。
仮面ライダーの行為とは思いたくないほどみみっちいが、方法としてはこれしかないだろう。

ライダー棺桶図解

ショッカーは命の恩人!

方法がそれだとしても、わからないのは仮面ライダーが棺桶に入った目的である。どう考えても、あまりに危険な行為だ。
目測だが、棺桶のサイズは横50㎝×高さ40㎝×長さ2mほど。この棺桶に入っている空気は400Lという計算になる。
人間は1回の呼吸でおよそ0.5Lの空気を出し入れし、1分に14回の呼吸をするから、つまり1分で7Lを使う。最も単純に考えるなら、400Lの空気はわずか1時間で消費されてしまうということだ。なんと仮面ライダーは、棺桶のフタを閉めた時点で、もう余命が1時間!
それだけではない。ショッカーは、仮面ライダーが密室に入るとベルトの風車が回転せず、エネルギーを失うことを暴いていた。同じ話のなかで、仮面ライダーは天井が下がる密室に閉じ込められ、大ピンチに陥るというエピソードが描かれているのだ。
ライダーは「俺を殺すと宝のありかがわからなくなるぞ!」と苦し紛れのネゴシエーションをしてようやく解放されたのだが、そこまで密室が苦手な仮面ライダーがなぜ棺桶に入ったんだっ!?

ここまでくると、問題は「なぜ仮面ライダーは棺桶に入ったのか」というより「なぜ仮面ライダーは助かったのか」であろう。
その答えは一つ。結果的にショッカーが助けてくれたからだ。
死神カメレオンが来るのがもう少し遅かったら、ライダーは棺桶のなかで息絶えていた。ということは、このエピソードは見方を変えると、地中で死にかけていた仮面ライダーをショッカーが救出したという美談である。
なのに、ライダーキックで彼らを葬り去った仮面ライダー。正義のためとはいえ、いいのかな?【了】