知能指数タイトル

『金田一少年の事件簿』の金田一一は180。仮面ライダー1号の本郷猛は600。ウルトラマンや、その好敵手メフィラス星人は1万――。
この数値が何を表しているか、わかるだろうか? 答えは「知能指数」。英語でIntelligence Quotient、略してIQである。

空想科学の世界の住人たちは、この知能指数もハンパない!
たとえば、『スペクトルマン』の敵役のサル(に顔がすごく似ている宇宙人)の宇宙猿人ゴリでさえ、知能指数300。
『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』に登場した、ほとんどイカみたいなバイラス星人が2500。
『ウルトラマンA』に出てきた、魚の背中を顔にしたみたいなメトロン星人Jrが5千。
『ポケットモンスター』でユンゲラーから進化したフーディンも5千だ。
そして、ウルトラマンやメフィラス星人は1万。
知能指数600とか5万とは、いったいどれほどアタマがいいのだろうか?

知能指数600の人は存在するか?

知能指数は、知能の程度を表す一種の指標である。
われわれ人間の場合、知能指数100で普通、140を超えれば天才といわれる。たった40の違いで、凡人と天才は大きく分かれるのだ。
そう考えれば、仮面ライダー=本郷猛の600はすごい。いったいどれほどの天才なのか?

知能指数の場合、70〜130の人が全体の95%を占める。
人類のほとんどはこの枠内に収まるわけで、131以上の人は全体の2・2%、141以上の人は0・6%しかいない。天才といわれるのも当然ですなあ。
天才の表現として「10万人に1人の天才」といわれるけれど、知能指数600の本郷猛は、とてもそんなものではない。
具体的に書けば、彼は40000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000人に1人の大天才なのだ!
ちなみに、世界の総人口はおよそ7200000000人。
上の数字よりはるかに少ないわけで、つまり知能指数600とは、世界一アタマのいい人でも叩き出せない数値ということだ。

しかも、筆者は恐るべき発見をしてしまった。1970年代に大流行した「仮面ライダーカード」の№400に、本郷猛の説明として「小学校のころから、理科や算数がバツグン。せいせきはクラスで5ばんいない」と書かれていたのだ。
本郷少年のクラスには、本郷レベルの大天才が5人もいたってコト!? 担任の先生はやりにくかっただろうなあ。

知能指数図解1

本郷猛の精神年齢は144歳!

そもそも知能指数とは何だろうか?
人間の知能は18歳くらいまで年齢とともに発達していく。だが、誰もが実年齢に応じた知能の発育をするわけではない。12歳なのに15歳くらいの知能を持っている場合もあれば、その逆もある。
テストの成績によってこれを数値化したのが知能指数で、要するに「どの年齢層と同じ点数を取れたか」を表す指標だ。
実年齢12歳の子どもの場合、精神年齢(知能の発達レベル)が12歳だったら、知能指数は100。精神年齢が15歳なら125、精神年齢が18歳なら150になる。
しかし、前述のとおり人間の知能が発達するのは18歳くらいまで。知能指数はその間の知能の発達具合を知る指標にすぎず、人生全体からするとあまり意味のある数値でもない。

こうなると不思議なのは、本郷猛は24歳、ウルトラマンは2万歳なのに、なぜ知能指数が計算できてしまうのか?ということだ。
考えられるとしたら、彼らは知能のピークが18歳を超えて、その後もどんどん伸びるということだろう。
その仮定で「24歳・知能指数600」の本郷猛の精神年齢を計算すると、なんと144歳! これは「ものすごくモーロクしている」という意味ではない。人間が18歳までにいろいろなことを吸収したり、暗記したりするのと同じペースで144歳まで生きたら……という仮定に基づく年齢だ。
同様の計算をすると、ウルトラマンの精神年齢は200万歳! もう、よくわかりません。

ウルトラマンは100万ヵ国語をマスター!?

いやいや、このくらいで諦めたら、筆者の脳は老化してしまう。精神年齢がバカ高いとどれほど賢くなれるのか、具体的に考えてみよう。

多くの日本人は一般的に、高校3年生までに英語を学び、大学1〜2年で別の外国語を学ぶ。
つまり文部科学省は、知能指数100くらいの人なら、18歳までにひとつの外国語をマスターし、次の2年間でもう1ヵ国語をマスターできると考えているのだろう。
その見解に従えば、本郷猛は精神年齢18歳までに1ヵ国語、残りの精神年齢126歳分で63ヵ国語、合わせて64ヵ国語をマスターできる! これはすごい。

知能指数図解2

精神年齢200万歳のウルトラマンに至っては、99万9992ヵ国語を堪能に操れる。
現在、国連加盟国は世界193ヵ国だから、ウルトラマンの言語力は地球5180個分!
これはもう、バルタン星人やゼットン星人の言葉も理解していると考えるべきでしょうなあ(そのわりに、話し合いによる解決を試みたことはなかったような……)。

筆者が気になるのは、これほどすごい彼らの知能指数がどうやって判明したのか、だ。
前述のとおり、知能指数とは「どの年齢層と同じ点数を取れたか」を表す指標なのだから、試験を受けなければ、結果は出ない。ということは、本郷猛もウルトラマンも、どこかでおとなしく知能テストを受けたのだろう。

アタマがよすぎて、テストは最低点

筆者の手元にある『右脳左脳のIQテスト』(東京図書)という本には、いろいろな知能テストが収録されており、「制限時間45分で、60問中29問が解ければ、知能指数100と認定」とある(1問あたりの所要時間は1分33秒)。
この100をベースに、正解数が1問増えれば指数が2上がり、正解数が1問減れば指数が2減るという。きわめて単純化してあるが、IQを自己判定する目安にはなるのだろう。

では、このテストに本郷猛が挑戦したらどうなるか?
知能指数600の彼は、制限時間内に279問正解できる。1問あたりの所要時間は21秒だ。
知能指数1万のウルトラマンに至っては4979問正解。1問の所要時間は0・54秒!
これはものすごいスピードである。ウルトラマンが0・54秒のうち0・44秒を思考に使ったとすると、鉛筆を動かして答えを書き込む時間は、わずかに0・1秒。答えが「山」で、これを書くために鉛筆の芯を0・1秒で3㎝動かすとしたら、鉛筆の先は時速93㎞になる! これはバイクが転ぶと火花が散る温度だ。紙なら間違いなく発火し、解答用紙はたちまち炎上。ウルトラマンは記録的に低い点数を叩き出すことになりかねない。気の毒に……。

それでも筆者は思う。18歳までの発達のレベル計る知能指数に、たいした意味はない。
大人になってからのアタマのよさとは、経験とか、日々の努力とか、生きる姿勢とか、そういうものが複合的に作り出すものだとしみじみ実感する昨今である。【了】