ゴジラVSガメラ

ゴジラとガメラは、どちらが強いのか? 両方の怪獣映画を見ながら育った筆者の世代にとって、まことに気になる問題だ。

子どもの頃は、これについて友人たちと何度も議論したが、もちろん結論が出ることはなかった。ゴジラ派もガメラ派も、いろいろな理由を持ち出しては、自分たちの好きな怪獣が絶対に勝つ!と主張して譲らないからだ。
そしていつも最後は「実際に戦ってみなければわからない」とい物別れに終わるのだが、この両雄が実際に戦うことはなかった。『ゴジラ』は東宝、『ガメラ』は大映と、製作会社が違うなど、オトナの事情があったからだ。

そこでいま、科学の力を借りて、この2大怪獣が戦ったらどうなるかを考えてみよう。
勝負はときの運とも言うから、強弱を断定することはできないが、ある程度は戦いの行方を予想できるのではないだろうか。

ぶつかったらゴジラの圧勝

まずは選手の紹介から。
両者とも、シリーズが進むにつれて体格や能力が変わっていったので、ここでは初代ゴジラと初代ガメラに出場してもらおう。

ゴジラは、ビキニ環礁の水爆実験で巨大化した太古の生物で、口から放射能火炎を吐く。
『ゴジラ』シリーズは、昭和期に15作、平成に入って13作の映画が作られた。
その身長は50m、体重は2万tだ。

対するガメラは、カメによく似た外見ながら、手足を引っ込めてジェット噴射で飛行する。その速度はマッハ3。
『ガメラ』シリーズは、昭和期に8作、平成に4作が作られている。
初代ガメラの身長は60m、体重は80tである。

注目したいのは、両者の対格差だ。
ゴジラの「50m・2万t」に対し、ガメラは「60m・80t」。ガメラのほうが体は大きいのに、体重はゴジラが250倍も重い!

これはどちらが科学的に納得できる設定なのか?
彼らの体が実在の生物と同じ物質でできていると仮定し、2匹の人形を元に、ゴジラが50m、ガメラが60mになった場合の「適正な体重」を算出してみると、ゴジラの適正体重は1万2500t、ガメラは3万1千tとなる。
ゴジラの体重2万tはその1・6倍であり、ガメラの80tは0・0026倍しかない。
つまりゴジラは重すぎるし、ガメラは軽すぎるということだ!

これほどの体重差でぶつかり合ったら、勝負は一瞬で決まる。
正面から激突した場合、ガメラのほうが一方的に弾き飛ばされるのはいうまでもない。
ゴジラが時速50㎞で突進してくるとき、ガメラがマッハ3でこれに体当たりしたとしても、ゴジラが時速34㎞に速度を落とすだけなのに対し、ガメラは時速410㎞で跳ね返され、320m後方に落下する!
あまりに体重差があるため、肉弾戦ではガメラに勝ち目はない。

ゴジラとガメラの空中戦!

だが、実際の戦いとなれば、ガメラは当然、その飛行能力を活かし、口から炎を吐いて空中から攻撃するだろう。
対するゴジラは空を飛べないから、するとグッと不利になる?
いや、実はこの怪獣王も1度だけ空を飛んだことがある。映画『ゴジラ対ヘドラ』で、空を飛んで逃げた公害怪獣ヘドラを追って、口から放射能火炎を吐き、その反作用で後ろ向きにヒョロロ~ンと飛んだのだ!
口から吐く火炎を使って、後ろ向きに飛ぶ。あまりの珍妙な飛び方に、初めて見たときにはわが目を疑ったものである。

だが、いまは外見を気にしている場合ではない。
ゴジラは、上空のガメラの位置を確認するやクルリと背を向け、放射能火炎を吐いて浮き上がるだろう。そして、後ろ向きのまま火炎を吐き続け、ぐんぐんガメラに迫る!
ゴジラが奇妙な体勢で追ってくるのに気づいたガメラは、ギョッと驚くに違いない。
が、驚くだけの話だ。
後ろ向きに飛ぶゴジラには、目指すガメラの姿は見えないし、後ろを見ようと首を曲げると、火炎の向きが変わり、飛ぶ方向も変わってしまう。
そもそも、目下のゴジラは武器となる放射能火炎を、空を飛ぶのに使ってしまっている。
攻撃がまったくできず、つまり丸腰で相手に接近しただけ!

こうなるとガメラが有利だ。
脚からのジェット噴射で飛ぶガメラは、炎を吐く口はフリーだから、迫ってきた丸腰ゴジラに火炎を浴びせかけて、この怪獣王に圧勝……いや、それは可能か!?
火のついたロウソクを動かすと、炎は動かした方向と逆方向にたなびく。空を飛びながら火を吐く場合も同じことが起こる。
つまりガメラが正面に向かって炎を吐きながら飛ぶと、自分が吐いた炎の中に突っ込むことになる。その火炎に威力があればあるほど、ダメージも大きい!

ゴジラ・がメラ図解

ポイントはガメラの持久力だ

自分が吐いた炎で焼き肉になるのを避けるには、ガメラはゴジラと空中ですれ違いざま、横向きに火炎を吐くべきだろう。
そして、さっと空の彼方に飛び去る。これを繰り返すのだ。
ゴジラも、空中をウロウロしてガメラの炎を浴びるより、地上にドッシリ構えて放射能火炎を吐いたほうがマシだろう。
大空を超高速で飛び回るガメラを、ゴジラの火炎がサーチライトのように追う。見応えのある地対空決戦となるに違いない。

放射能火炎がガメラを捉えれば、ゴジラが勝つだろう。
だがマッハ3とは、1㎞彼方からわずか1秒で迫る速さだ。ガメラの高速ヒット&アウェイ戦法が功を奏すれば、ガメラに勝機がある。
問題は、ガメラがこの攻撃をどれほど続けられるか、だ。

怪獣図鑑などには、ガメラは石油にして「ドラム缶500本分の炎を吐く」とある。
ドラム缶の容量は1本200ℓほどで、石油の密度は1ℓあたり0・8㎏ほどだから、ドラム缶500本分の石油とは、重量にして80t。
えっ、ガメラ自身の体重とまるっきり同じ!? なぜ体重80tのガメラが石油80t分の炎を吐けるのか不思議だが、それを使い切る前にゴジラを倒せるかどうかが、勝敗の鍵となる。
全部吐き切ってしまったら、計算の上ではガメラは消滅してしまうわけだし。

もし1回の攻撃でドラム缶50本分の火炎を吐くとしたら、ガメラに与えられたヒット&アウェイの回数は10回。
1回に100本分の火炎なら、回数は5回。
宿命の対決は、ガメラが限られた攻撃回数をどう使うかにかかっている。【了】