アンパンマンタイトル

アンパンマンは、偉大なヒーローだ。顔が大きなアンパンで、おなかのすいた人がいると、自分の顔をちぎって食べさせる。こんな犠牲的精神に満ちたヒーローは、他にいない。
だが、そのアンパンは、アンパンとしてあまりにも大きい。あれほどの大きさとなると、いったい何人がお腹いっぱいになるのだろうか。

普通のアンパンと比べると?

アニメの画面から、アンパンマンの顔の大きさを推定してみよう。
そもそもアンパンマンの身長とは、どれほどなのか? 具体的なデータは公表されていないから、周囲の人々と比較しながら推測しよう。
もしアンパンマンが1m40㎝だとすると、ジャムおじさんは1m13㎝という計算になる。これは、6歳児の平均より低い。
逆に、アンパンマンが1m80㎝もあったら、しょくぱんまんは1m97㎝もあることになり、それはちょっと大きすぎないか。
よってここでは、アンパンマンの身長は1m60㎝と考えることにしよう。

その場合、頭のアンパンの直径は76㎝になる。デカい! 76㎝とは、四輪駆動の車のタイヤと同じくらいなのだ。もしパン屋さんに直径76㎝のアンパンが並んでいても、大きすぎて誰もアンパンとは思わないかもしれない。
コンビニで普通のアンパンを買ってきて測定すると、直径12㎝、重さは140gだった。アンパンマンの顔のアンパンは、直径がその6・5倍。重さはその3乗で、なんと275倍だ!
140gの275倍とは38・5㎏で、小学5年生の男子の平均体重に相当する。
つまりアンパンマンは、少年1人分のアタマを抱えて、ばいきんまんと激しく戦ってきたのである。モーレツに疲れると思う。もしアンパンマンが負けるとしたら、それは頭部のアンパンのせいに違いない。

アンパンマン図解1

しかし、通常の275倍ものアンパンを持ち歩いているということは、彼は275人もの空腹な人を救えることに他ならない。いつなんどき飢えた群衆275人に遭遇しても大丈夫。
重いアタマを抱えた暮らしは大変だが、やはりすごいヒーローといわねばなるまい。

気になるのは、この巨大アンパンの中身である。内部構造までアンパンそのものだとすると、困ったことになる。
市販のアンパンを割ってみたところ、その中身は、表面から2・5㎝がパン、1㎝がアン、底の5㎜がパンという構造であった。
アンパンマンの頭部もこれと同じ比率だとすれば、表面から16・3㎝はパン生地が延々と続くことになる。空腹な人々が一列に並んでアンパンマンをいただくなら、最初の人々はパンばかりを食べることになる。その一団が終わったら、次の人々はアンばかり……。
こうなるともう、アンパンマンという名前もどうかという気がしてきますな。人々の思い出のなかでは、ある人にとっては「パンマン」、ある人にとっては「アンマン」。
われながら何を言ってるのか、わからなくなってきました。

アンパンマン図解2

想像以上にすごい人だ!

あれ? 待てよ。
ここまで筆者が書いてきたのは、アンパンマンの顔が普通のアンパンとまったく同じ形をしていることが前提である。だが、それは正しいだろうか?
普通のアンパンを横から見ると、後ろがペッタンコで、前がドーム状に膨らんだ形をしている。でも、アンパンマンの頭部をつぶさに観察すると、前から見ても横から見ても上から見ても真ん丸い。アンパンマンのアンパンは、ボールのような球形をしているということではないか。

パンを窯で焼くと、どうしても下の面は平らになる。
どうやって球形のパンを作るのか、ぜひともジャムおじさんに聞いてみたいところだが、いま大事なのはアンパンマンの頭部が球形という事実なので、それを前提にもう一度計算してみよう。

コンビニのアンパンの厚さは4㎝だが、アンパンマンのアンパンは球形だから、厚さも76㎝あることになる。
つまり、普通のアンパンに比べると、直径は6・5倍、厚みは19倍となり、6・5×6・5×19=800倍。つまり、アンパンマンの頭は800人分の超巨大アンパン!
ちょっとした規模の学校なら「皆さん、今日の給食はアンパンマンですよ~」といって、全校生徒でアンパンマンの頭1個を仲よく食べる……などということも可能になる。
当然、重量もすごい。140gの800倍も重いアンパンマンのアンパンは、なんと112㎏である! 史上最大のアンパンであろう。

バタコさん、大活躍!

これほど重い頭部を抱えて戦ってきたアンパンマンはすごい。
だが、目を閉じて静かに考えると、もう一人の偉人の姿が脳裏に浮かんでくる。
そう、ジャムおじさんだ。

この優しいおじさんは、毎朝毎朝、アンパンマンの顔を新しく焼いてあげる。重量112㎏ものアンパンを!
もう決して若いとはいえないジャムおじさんが、大量の生地をこね、アンを包んで、合計112㎏にも及ぶパンに成形して、パン焼き窯に入れるのは、たいへんなご苦労であろう。
だが、ジャムおじさんには頑張っていただくほかはない。
冒頭から繰り返し記しているが、このヒーローは、そこらを勝手に歩き回っては、お腹のすいた人に顔をちぎって食べさせるのを習慣にしているからだ。
もし、何日も前のアンパンでそういうことをされたら、食中毒事件が発生し、ジャムおじさんのパン工場は、保健所に営業停止所分を食らってしまう。ジャムおじさんは、毎朝アンパンマンマンのために、新しいアンパンを焼いてあげているというが、その習慣はぜひとも継続していただきたい。

ただし、この日課は経済的に負担が大きいはずだ。
筆者が買ってきたコンビニのアンパンは、消費税抜きで100円だった。
ということは、アンパンマンの生地とアンで普通のアンパンを作れば、その800倍、すなわち8万円の売り上げが見込まれる。ジャムおじさんは、毎日それをパーにしているのだ。
8万円×365日=年間2920万円! 村の平和のためにこれほどの個人資産を提供する人は、世界でも稀有だろう。
アンパンマン図解3修正

そしてもう一人、バタコさんの偉業も忘れてはならない。
このうら若き女性は、アンパンマンがばいきんまんに攻撃され、顔が汚れて力が出なくなると、新しいアンパンを持って現場に駆けつける。そして「アンパンマン、新しい顔よ~!」と叫び、アンパンを投げてあげるのだ。
新しいパンはクルクル回りながら飛んでいって、アンパンマンの古い顔を弾き飛ばし、入れ替わりに新しい顔となる。そして、元気百倍のアンパンマンに!

このバタコさんの行為は本当にすごい。重量112㎏のアンパンを投げるのだから。
112㎏といえば、大人の女性2人分の重さだ。これを2mでも投げられたら、相当な怪力だろう。
だが、バタコさんの力はそんなレベルではない。
ある回で測定すると、バタコさんはアンパンマンの顔を、水平面から30度の角度で投げている。そして、投げてからアンパンマンに届くまで4秒を要した。
ここから計算すると、バタコさんはアンパンマンの顔を時速144㎞で投げたことになる。112㎏もの重量物を、プロ野球のピッチャーのストレートと同じスピードで投げている!
飛んだ距離は136m。バタコさんが野球場に行って、バッターボックスから「新しい顔よ~!」と叫んで投げると、アンパンマンの頭はバックスクリーンを直撃する……!

112㎏のアンパンを作るジャムおじさんに、それを136mも投げるバタコさん。
そして、それを体に載っけて今日も戦うアンパンマン!
この3人の恐るべき実力者がいる限り、村の平和は安泰であろう。【了】