web用『シティーハンター』ハンマータイトル画

『シティーハンター』は、1980年代後半から90年代にかけて大ヒットしたマンガだ。雑誌の連載期間は、筆者のだいぶ長い大学時代(なのに卒業せず)とカブっていて、おお、甘酸っぱいわが青春を思い出すのう……。
 などと老け込もうとしていたら、とんでもなかった。『シティーハンター』はこの夏、スマホ向けのマンガRPG「ジョーカー~ギャングロード~」(*)とのコラボレーションが始まっているし、来年の春(2月8日らしい!)には劇場版アニメも公開されるという。いまでも愛され続けているコンテンツなのだ。
 この息の長さは、『シティーハンター』が独特の世界観を持っていたからだろう。主人公の冴羽獠(さえば・りょう)は、東京・新宿を根城にする「始末屋(スイーパー)」。裏の世界では「ヤツにねらわれて生きのびた野郎はいねえよ」と恐れられる彼は、「シティーハンター」の異名を持つ。相棒は、麻薬密売組織に殺されたかつての相棒の妹・槇村香(まきむら・かおり)だ。――と、こんなハードな世界にあって、獠は無類の女好きでもある。基本的に女性の依頼しか受けず、何かと股間をもっこりさせる。そんな獠に、香は「100tハンマー」を振り下ろす。ハードボイルドとギャグが絶妙に融合した世界観!
 本稿では『シティーハンター』の代名詞ともいえる三要素「獠の凄腕」「もっこり」「100tハンマー」について考えてみたい。

射撃の腕がハンパない!

 獠の射撃の腕前はモノスゴイ。相手の銃を撃ち落とすくらいは朝メシ前で、コーヒーを飲んでいる敵のカップを撃ち砕いて警告を与えたこともある。
 なかでも筆者が驚いたのは、鞭をピストルで撃って破断させたことだ。現実の世界で鞭を振り回している人はあまり見かけないが、マンガのなかではよく悪人が使っている。その脅威はバカにしたものではなく、振り回すと遠心力で引っ張られて直線に近づくため、先端のスピードは相当なものになる。
 その鞭は、長さ5mほどと見られ、獠が撃ったのは、鞭の根元から2mほどの場所だった。先端からは遠いけど、それでも全力で振るうとき、この場所は時速150㎞前後で動く。
 一方、獠が愛用するコルト357マグナムの初速は秒速400m=時速1440㎞。獠は5mくらい離れた場所から撃ったが、弾丸がこの距離を飛ぶあいだに、鞭のその場所は50㎝ほど動く。つまり獠は、時速150㎞で動く標的の位置を見定めて、その50㎝先を狙って撃ったわけである。
 しかも、その鞭の直径は2㎝程度。この細さでは、発砲のタイミングが0.00024秒ズレても当たらない。
 鞭を持つ相手を狙うなら、動きの小さな手や腕を撃つほうが簡単だと思うが、獠はそれほど腕に自信があったということだろう。恐るべき名手だ。

もっこりで壁をぶち抜く!

 さて、この凄腕の始末屋が、ことあるごとに股間をもっこりさせるわけである。
 そのもっこり力は侮りがたく、椅子に座った状態で、テーブルを持ち上げて傾かせたこともある。ドアをもっこりでこじ開けたこともある。天井にもっこりが挟まって、パワーを注入したところ、天井が崩壊したこともある。
 どれもこれもオドロキのもっこりパワーだが、筆者が震撼したのはこの現象。獠が窓ガラス越しにエアロビクスを鑑賞していたところ、「バキィィ~ンン!!」というものすごい音が! 近くの人々が音に振り返ると、窓の下のコンクリートの壁に、直径10㎝ほどの穴が開いていた! なんと、もっこりがコンクリートを突き破った!
 壁の厚さを10㎝として計算すると、これに必要な力は9.6tとなった。アフリカゾウの最大個体でさえ、体重は7.5tだから、このヒトは、もっこりでゾウを持ち上げることができるわけだ。男子として、あまりに尊敬に値する始末屋である。

オソロシすぎる100tハンマー

 そんな獠の不埒な行為に天誅を加えるのが、香の100tハンマー。初めのうちは「10t」と書かれていたが、やがて「100t」がスタンダードになり、果ては「10万t」「無量大数t」「10万馬力」「ICBM」といったスゴイものも現れた。
 恐るべきハンマーである。あの大きさで100tあるとしたら、何でできているのか? また、そんなモノで殴られた獠はどうなってしまうのか?
まず、材質を考えてみよう。「100t」と書かれているハンマーでも、大きさはさまざまだ。たとえば、小さなものだと、ヘッド部分が直径20㎝、長さ40㎝。巨大なものだと、直径85㎝、長さ1m7㎝。一見、大きいほうが威力はありそうに見えるが、重さは同じ100tなのだから、狭い面積にエネルギーが集中する分だけ、小さなほうが破壊力は上回る。100tハンマーは見かけによらないのだ。
 この場合、密度は大ハンマーが1Lあたり165㎏。金の8.5倍であり、もっとも密度の高いオスミウム(金属)と比べても7.3倍。こんな物質は、地球上に存在しない! 小ハンマーは1Lあたり8tで、オスミウムの350倍。いよいよ存在しない! 香さんは、こんなモノをどこから持ってきたのだろう……?
 こんなモノで殴られるとは、獠の安否がモーレツに心配である。
 ある回では、香は病院のベッドに座った状態から、前述の大型100tハンマーを振り下ろした。ヘッドの落差は2mほどと思われる。獠の体重を70㎏とすると、彼の頭には、自分の体重の1430倍も重い物体が高さ2mから落ちてきたわけである。すなわち、自分が高度2860mから、脳天を下にして落ちたのと同じ! これでなぜ生きていられるのか、まったく全然わかりません。

web用『シティーハンター』ハンマー図A

 標準的な100tハンマーですら、この破壊力。これが無量大数tハンマーになると、どうなるのか。「無量大数t」をアラビア数字で書くと
「100000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000t」で、これは宇宙の全質量より10000000000000000倍も重い。
 これでハンマーの大きさなら、完全にブラックホールとなり、獠はもちろん、香も地球も太陽も、いずれは全宇宙さえ飲み込まれる。獠が不埒なばっかりに、宇宙が滅亡へ……。香さんは絶対に無量大数ハンマーを使わないでください。
 こんな楽しい要素が、ハードボイルドに絶妙に織り込まれていた『シティーハンター』。何度読んでも、いつ読んでも面白いなあ。【了】

(*)

■『シティーハンター』コラボレーション情報
スマホ向けのマンガRPG「ジョーカー~ギャングロード~」にてコラボレーション開催中!
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ゲーム内で、『シティーハンター』の漫画も無料公開中!
実施期間: 2018年7月17日(火)15:00~2018年8月15日(水)14:29

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